眼医器協ニュースVol.83
学会を終えて
鳥取大学 眼科学教室
准教授 宮崎 大
鳥取大学医学部視覚病態学は、第122回日本眼科学会総会を、2018年4月19日から4月22日に大阪で主管校として開催させていただきました。総会長、井上幸次教授の統括のもと、プログラム委員長 相原一教授(東京大)、神鳥高世副総会長とともに学会運営に事務局長として携わりました。
学会の運営には、さまざまな方のご協力をいただきました。特に日本眼科学会理事、評議員、プログラム委員会、日本眼科学会事務局の皆様には、学会の立案、プログラム構成、円滑な遂行にご支援をいただきました。また、日本眼科医療器機協会の皆様には、最新の医療器機のプレゼンテーションをはじめ、手厚いご支援を賜りました。
会場は、大阪国際会議場とリーガロイヤルホテルを利用させていただきました。
総会長と同じく小生は大阪大医学部出身であり、この界隈は思い入れのある旧大阪大学跡地のすぐそばにあります。学生当時、解剖実習など多くの日々をこの地で過ごしたことを思いだすにつけ、感慨の深いものがありました。特に、手狭ながらも6,700人と日本眼科学会の過去二番目に多い来場者の登録をいただき、滞りなく学会を運営できたことは、本稿に紹介しきれないほど多くの方のご協力やサポートのもとに成り立っております。
今回の学会のテーマは、井上幸次総会長により “眼を究める、サイエンスが見える”とさせていただきました。眼科は狭い分野ですが、生涯にわたる視覚の保護という重要な役割を担っています。特に視覚はもっとも失いたくない知覚の最たるものであります。そのような視覚の保護をつきつめていけば、再生医療、角膜や網膜の細胞レベルの観察や制御につながって参ります。
最先端の眼科医療には、そうしたことを可能にするすぐれた医療器機やデバイスの開発が欠かせません。もはや眼科医はそうした医療器機なしでは充分な診療すらできない時代となって参りました。本学会では、そうしたサイエンスと臨床医学がうまくブレンドする最先端の分野を紹介し、眼科医療の将来の展望を感じさせるようなプログラムを組んでいただきました。
本学会のハイライトである評議員指名講演は、「生体イメージングと眼病理」というテーマでした。これまで未開拓の脈絡膜循環をいかにして評価し、診療に役立てていくか、さらに網膜血管の保護者である周皮細胞が網膜疾患の病態にいかに関与するかについての講演は、網膜診療の未来を感じさせるものでした。
これらの開発には、おそらく人工知能技術とのブレンドが欠かせないであろうことも心に残りました。角膜分野では、招待講演のDonald Tan教授が、なぜ、Descemet’s membrane endothelial keratoplasty (DMEK)が我々アジア人の角膜内皮機能不全患者に重要な手術たりうるのかを説明され、さらには、対象疾患を問わずDMEKをおそらく誰でも可能とする手術補助デバイスを紹介されました。
これまで、私を含め眼科医は自己の限られた経験に基づき医療を行って参りました。しかし、人工知能技術の発展は、全国の眼科医の経験が集合知としてフィードバックされ再び個人が活用できるような未来を描いています。ビッグデータと眼科医療のシンポジウムではその現状を紹介いただきました。
このような輝ける眼科医療の未来の実現には、日本眼科医療器機協会の会員各社様やベンチャーとして起業される方々の尽力が欠かせません。我々眼科医は、このような多くの方々にこれまでも、そしてこれからもサポートされていることを感謝し、主管校として特に日本眼科医療器機協会様のご支援に深く御礼申し上げます。