眼医器協ニュースVol.98
学会を終えて
東京女子医科大学眼科学講座
教授・基幹分野長
飯田知弘
この度、2021年12月3日(金)~5日(日)の3日間、第60回日本網膜硝子体学会総会を東京国際フォーラムで開催いたしました。新型コロナウイルス感染症が続く中、無事盛会裡に終了することができ、日本眼科医療機器協会の皆様をはじめ関係各位の方々に厚く御礼を申し上げます。
今回は現地開催に加えて、一般講演を含めたプログラムをライブ配信し、また後日オンデマンド配信も行い、様々なニーズに合わせて参加が可能なようにいたしました。現地では第1会場の講演を第2,3会場でも中継を行い、余裕のある空間で聴講できるようにもいたしました。2020年から続くコロナ禍により変化した生活様式、いわゆるNext Normalに向けた学会のあり方を模索している中での開催でした。オンライン形式の学会・講演会が広まり、その利便性の良さが認識されるようになりました。また、現地に参加できない先生からはライブ配信の要望もあります。今回は全ての会場からのライブ配信を行いましたが、ライブ配信にはかなりの費用がかかるため、これは会場数が適度なため可能であったといえます。しかし、現地で対面での学会の良さを再認識できた学会でもあったと考えていますし、そのようなご意見を沢山いただきました。
参加登録者数は目標としていた2,000名を超え2,086名でした。幸運にもコロナ新規感染者数が減少して、様々な社会活動の制限が解除されたタイミングでの開催となったことで、会場での参加者は12月4日(土)には750名を超え、第60回記念で今回の目玉として企画した「レジェンドからのメッセージ」(図1)や盛賞受賞講演などでは以前の学会の盛況を思い出させてくれました。3日間とも質疑応答(図2)が活発に行われて会場には活気があり、またフロアでは談笑する姿も多くみられました。
興味深いことに、ステージ上あるいは前方席から会場を眺めたときに、満員のような錯覚を覚えました。コロナ感染対策として着席できる座席を一席ずつ空けているにもかかわらずです。「着席不可」の白いボードを茶色とグレーの座席に張っているのですが、これが新国立競技場のまだら模様の座席の効果と同じような目の錯覚を生じさせていたようです(図3)。きっと演者・座長の先生方も同じ感覚であったでしょうから、久しぶりに張り切って、熱い講演とディスカッションに繋がったのかもしれません。
器械展示会場の様子を何度か伺いに行きましたが、多くの先生方が各社のブースをまわられており、ここでも現地開催の意義を再確認いたしました。器械展示は学会の重要な一翼を担っています。新製品に直接触れることのできる絶好の機会ですし、新規購入や買い換えを検討している機器が一堂に展示されて、説明を受けながら直接操作して、複数を比較できるチャンスは現地開催の学会でないとかないません。思わず興味を引かれる機器に出会うこともあります。コロナ禍の中、感染対策にも注意を払いながら展示をしていただきました日本眼科医療機器協会と企業の皆様に厚く御礼を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症はまだ出口が見えませんが、Next Normalに向けた学会のあり方や眼科診療について、継続して考えていく必要があります。現地開催がかなわなかった学会が多くある中で現地での開催を無事終了することができ、またリアル開催の良さを味わっていただけた機会となりましたことに、関係各位に改めて感謝申し上げると共に、引き続きのご指導ご鞭撻をいただきたいと存じます。本来であれば直接御礼を申し上げるところではございますが、ホームページ上にて学会報告とお礼とさせていただきます。