東京大学医学部附属病院眼科
教授 相原 一
2021年9月10日(金曜日)~12日(日曜日)の3日間、京都国際会館において、第32回日本緑内障学会(現地ハイブリッド開催)を開催させていただきました。現地参加、当日のライブ配信、事後のオンデマンド配信を通じて、例年通りの参加者数となり、盛会のうちに終了することができました。支えていただきました関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。
本学会のテーマは「眼圧を究める」。緑内障は緑内障性視神経症として多様な病態を有する疾患ですが、眼圧は最大のリスクファクターであり、唯一エビデンスのある治療対象でありながら、いまだブラックボックスが多く存在します。全国から多数の医師・コメディカルが集い、緑内障学の各種研究発表や活発な討論を行う場である本学会で、この謎に満ちた、興味の尽きない研究対象でもある眼圧についてさらに究め、医学知識・医療のさらなる向上に寄与することを目的として、このテーマといたしました。
当初、本学会は桜舞い散る京都(2020年3月)にて第9回世界緑内障会議(WGC)との合同開催予定として準備を進めておりましたが、コロナ禍の影響を受けまして、別々の期間で行うことになりました。WGCは残念ながら完全ウェブ(2021年6月30日~7月3日)となりましたが、日本緑内障学会も運営に参加、日本から多数の参加者がありポスター登録は世界最多など、ホスト国として日本の存在感をしっかりと示すことができました。
そのような経緯から、第32回日本緑内障学会では通常の招待講演は設定せず、JGS special sessionとして世界と日本の緑内障を俯瞰するプログラムを企画しました。「世界の中の日本の緑内障」というセッションを企画し、これまで日本の緑内障学会をリードしてこられた谷原秀信先生、新家眞先生、白土城照先生、岩瀬愛子先生、山本哲也先生にわが国における緑内障の歴史と発展についてご講演いただきました。日本緑内障学会の歴史に残るセッションとなりました。そして、WGCでの話題紹介を行う「世界緑内障、WGCハイライト」を企画し、世界で最先端の情報をわかりやすくキャッチアップできるセッションとなりました。さらに、「日本の緑内障治療の現状と課題」ではわが国の現状を振り返り、今後の課題を検討する有意義な討論が行われました。須田記念講演は北里大学、庄司信之先生に担当していただき、緑内障手術への先生の情熱が伝わるご講演をしていただきました。シンポジウム・一般口演では、特に学会テーマである眼圧の謎を中心に、様々な研究や知見について、熱の入った発表と討論が行われました。紙面の関係で一つ一つにふれることができませんことをお詫び申し上げます。
今回の学会ではポスター展示はウェブでのオンデマンド閲覧とし、器械展示をSakuraで行いました。緑内障関係の学会では久々の現地開催の器械展示となりましたが、日本眼科医療機器協会の皆さまにご尽力いただき、また医療機器メーカーの皆さまのおかげで、とても良いレイアウトを敷いていただきました。限られたスペースではありましたが、おもてなしのお菓子やパンのご提供、スタンプラリー企画をしていただいたおかげもあり、たくさんの方が集まり、アットホームな話しやすい雰囲気のなか、face-to-faceで新しい情報等をご提供いただきました。
多くの方々に支えられての学会運営となりました。皆様に厚く御礼申し上げます。