会長挨拶

眼科医療への貢献を通した産業の成長に向けて

会長 小澤 素生

 一般社団法人日本眼科医療機器協会は、眼科医療機器の製造・販売などを行っている会社等130社(2017年4月現在)からなる産業団体で、1978年の発足以来眼科医療機器の標準化推進、品質及び安全性の確保、流通、販売の適正化や、日本眼科学会との協調による学会併設器械展示会の開催・運営などを行ってまいりました。

 また、近年は眼科医療の発展と産業界の地位向上に繋がる活動にも力を入れており、日本の21の医療機器産業団体の連合会である一般社団法人日本医療機器産業連合会への参加を通して行政からの情報を入手し、日本眼科学会・日本眼科医会と協調して行政に対し医療機器産業に関わる法規制・制度改革への提言や、診療報酬改定に向けた要望などを行っています。

 眼科医療が発展する中で眼科医療機器産業もそれに伴い成長していかなければなりません。我々眼科医療機器業界が産業成長に向けて現在取り組んでいる3つの大きな活動があります。

 第一は、診療報酬改定への継続的な取組みです。高齢化に伴い日本の医療費は増加の一途であり2014年には40兆円を超えていますが、その中で眼科医療費は約1兆円で安定推移しています。しかし、新しい技術のイノベーションを適正に評価していただくことも必要です。新技術の保険収載を実現することで、患者様の目の健康に貢献し、結果として眼科業界の発展にも繋げたいと考えております。

 第二は、「眼科検査機器出力データの国際標準化活動」です。これは、眼科学会からの要請により8年越しで取り組んでいる眼科医療機器の出力データフォーマット標準規格「JOIA std.」を、国際的な業界標準であるIHE(Integrating the Healthcare Enterprise)に採用させ、更には国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)の公的国際標準にしようという取り組みです。日本の医療機器・システムの規格が世界のスタンダードとなる事は、国際競争力、輸出力の強化に繋がります。また標準化活動は、緑内障検査データなど「医療ビッグデータ」の活用にも貢献することができます。今後、学会・医会、医療ICT関連をはじめ関連産業団体、行政と協力してさらに推進したいと思います。

 第三は、「公的眼科検診の推進活動」です。高齢社会への急速な移行の中で、検診率の向上により糖尿病網膜症・加齢性黄斑変性などの網膜疾患や緑内障を早期に発見し、失明を予防する事は、眼科医療機器を供給している産業界としての社会的な責務であり、これによって産業の発展にも繋がるものと考えております。

 こうした活動と同時に、薬機法、競争法など関連諸法規や、透明性ガイドラインなど業界規約の遵守を徹底することで眼科医療機器産業を健全に発展させ、医療の中での眼科そして医療機器のプレゼンスを高めてまいりたいと存じます。

2017年4月1日

 

一般社団法人 日本眼科医療機器協会

会長  小澤 素生

(注) IHE(Integrating the Healthcare Enterprise);
既存の規格を使用して、病院内の医療情報システムを統一的に運用するためのガイドライン作成と普及を目指す産業界の活動