眼科医療機器産業の未来に向けて
このたび、一般社団法人日本眼科医療機器協会の会長を拝命いたしました田中吉修です。前会長の小澤素生氏が長年にわたり築かれた協会の基盤を受け継ぎ、さらなる発展に向けて尽力してまいります。小澤前会長をはじめ、これまで協会の発展に貢献されてきた皆様に深く感謝申し上げます。
本協会は、1978年の設立以来、眼科医療機器の品質向上、安全性の確保、標準化の推進、適正な流通・販売の確立を通じて、眼科医療の発展に貢献してまいりました。現在、約140社の会員企業とともに、日本眼科学会・日本眼科医会などの関連団体や行政とも連携し、業界全体の発展を支える多様な活動を展開しております。眼科医療の進歩は日々目覚ましく、技術革新とともに医療機器業界もさらなる成長が求められています。
私たちは、より良い眼科医療を実現するため、以下の3つの重要な取り組みを推進してまいります。
第一に、診療報酬改定に関する働きかけの強化です。高齢化が進む中で、眼科領域の医療ニーズはますます高まっています。新しい技術や機器が適正に評価され、保険収載が実現されることで、患者の皆様に最適な治療が提供されるよう、関係各所との協議を継続してまいります。
第二に、眼科医療機器の標準化・データ連携の推進です。これまで当協会が進めてきた「JOIA std.」の国際標準化をさらに発展させ、IHEやISOとの連携を強化することで、日本発の技術が世界標準となることを目指します。これにより、医療機器の相互運用性が向上し、医療ビッグデータの活用を通じた新たな診断・治療技術の創出にもつながると考えています。
第三に、公的眼科検診の推進です。眼疾患の早期発見・治療の重要性は高まっており、特に糖尿病網膜症や緑内障、加齢黄斑変性などの疾患は、早期介入が視力を守る鍵となります。当協会としても、医療機関や行政と連携し、より多くの方々が適切な検診を受けられる環境整備に貢献していきます。
これらの取り組みに加え、薬機法や競争法をはじめとする関連法規の遵守を徹底し、業界の健全な発展を支えることも重要な責務です。医療の中で眼科医療機器の役割をより一層高めるべく、引き続き努力を重ねてまいります。
今後とも、会員企業の皆様とともに、眼科医療機器産業のさらなる発展に尽力してまいりますので、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年3月7日
一般社団法人 日本眼科医療機器協会
会長 田中 吉修
(注) IHE(Integrating the Healthcare Enterprise);
既存の規格を使用して、病院内の医療情報システムを統一的に運用するためのガイドライン作成と普及を目指す産業界の活動