日本眼科医療機器協会は、今年で44年目を迎え、協会会員企業数も2022年1月現在134社となりました。「眼科医療の進歩と健全な発展のため、より優れた眼科医療機器を提供し、国民の目の健康とQOL(Quality of Life)の向上を図り、社会に貢献すること」を協会理念とし、様々な活動を続けて参りました。しかしながら、今般のコロナ禍の2年は眼科医療機器業界を取り巻く環境も大きく変化しました。国内外を見ても、デジタル化の加速を受けて半導体など部品供給の逼迫、資材の価格高騰、人手不足による生産や物流網の停滞など様々な影響を受けて参りました。協会としても理念の遂行に向け、これまでの常識に捉われず、新しい時代にマッチした活動を会員企業の皆様と共に取り組む所存です。
このような状況下、近年、日本老年医学会が提唱した「フレイル」という概念が急速に浸透しつつあります。2020年から全国で「フレイル健診」が開始されています。眼科関係では、日本眼科啓発会議が2021年に「アイフレイル」を正式に提唱いたしました。「加齢に伴って眼が衰えてきたうえに、様々な外的ストレスが加わることによって目の機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態」と定義されています。当協会も、日本眼科学会・日本眼科医会のご指導を仰ぎながら、「アイフレイル」の啓発活動に寄与してまいります。
近年始まったもう一つの活動として、眼科領域におけるAIの活用があります。眼科のビッグデータを使用し検査のみならず、手術分野においても活用が期待されています。
2020年に設立した合同会社G-Dataでは、日本眼科学会のレジストリー事業を担う一般社団法人Japan Ocular Imaging Registry(JOI Registry)と協調して、眼底画像のAI診断補助プログラムの承認申請に向けての活動を活発化いたします。協力いただいている会員各社の皆様には、社会実装に向け引き続きサポートをお願いいたします。
当協会の主幹事業である器械展示については、2022年も残念ながらコロナ禍での開催が続くと見込まれます。この2年間で定着したリアルとWEBのハイブリッド開催も継続されることになるでしょう。ハイブリッドでの開催は、利便性があり参加登録者が増えますが、リアル参加者が減少する傾向にあります。しかし、会員皆様の取扱う製品はやはり現場で見て、触って評価して頂く事が第一と思います。昨年の経験を活かし、新しい時代にふさわしい安心・安全な展示会開催を目指して、多くの会員のご参加を募り、より多くの医療関係者の皆様をお迎えできるように準備をしたいと思います。
本号ではアイフレイル啓発活動の一環として、日本眼科啓発会議第一分科会の委員長の辻川明孝先生に「「アイフレイル対策活動」における眼科医療機器関連企業への期待」を、眼科領域におけるAIの活用については日本眼科学会理事長の大鹿哲郎先生に「眼科診療とAI」を、更には日本眼科医会会長の白根雅子先生には「3歳児健康診査における屈折検査の重要性」についてそれぞれご寄稿頂きました。紙面をお借りしてご寄稿頂いた先生方に厚く御礼申し上げます。
また、当協会が主催している「眼科MDIR認定試験」を初めて受験、合格された方、合格5年後の「更新用e-ラーニング」を受講された方々の経験談などについても多数ご寄稿頂きました。その他、協会自主統計についての考察なども掲載いたしております。
本レポートをご一読いただき、私たち日本眼科医療機器協会の活動についてご理解を深めていただければ幸いです。