2022年の併設器械展示会を振り返って

展示会委員会 委員長
 榎本 隆則

 

第126回日本眼科学会総会

総会長: 大阪大学 西田 幸二 教授
会期: 4月14日~17日(展示会は16日まで)(オンデマンド配信:4月28日~5月27日)
学会場: 大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル大阪
展示会場: 大阪国際会議場 3Fイベントホール、3Fホワイエ(73社524小間)
最終登録者数: 8,400人超(リアル参加者:2,600人超)

 

 2022年の学会併設器械展示会は昨年に続き新型コロナウイルスによる影響を受けた1年となりました。

 4月に開催されました第126回日本眼科学会総会は昨年に続き大阪国際会議場での開催となり、昨年経験したことを活かし、正面入口でまず検温器のTEMPOKを7台設置し、体温が正常でシールがプリントされた方のみが健康状態申告書を提出して大阪国際会議場に入館できるようにしました。またすべての来場者に「COCOA」と「大阪コロナ追跡システム」の登録をお願いしました。

 展示会場もマスク着用を義務付け、こまめな手指消毒の実施、会場の人数制限やブースでの密を避けるために入場証の発行枚数を小間数別に制限等昨年と同様の対応を実施しました。展示会の出展社数は73社と昨年と同数でしたが小間数は昨年の638小間を114小間下回る524小間となり、昨年から続くハイブリッド開催による来場者の減少を出展企業が敏感に察知した結果と長く続く景気の低迷を反映したように思われます。

 しかし、リアル来場者は昨年の2倍の2,600人を超える先生方のご参加がありました。(登録者数は昨年とほぼ同じ)これは医療従事者のワクチン接種4回目が終了していたことやリアル開催への渇望という背景があったのではないかと思います。展示会場も久しぶりに多くの来場者をお迎えし、賑わいを取り戻しました。今後の展示会に光明を見出したような感じがした学会、展示会でした。

第33回日本緑内障学会

学会長: 東海大学 鈴木 康之 教授
会期: 9月16日~18日(オンデマンド配信:10月3日~31日)
学会場: パシフィコ横浜 会議センター
展示会場: パシフィコ横浜 会議センター311+312、313+314,315(32社50小間)
最終登録者数: 1,472人 (リアル延べ参加者:1,193人)

 

 第31回はコロナの影響で展示会中止、第32回は開催直前に緊急事態宣言が発令されるという過去の2年間は新型コロナの影響で学会開催を悩まされてきた緑内障学会でしたが、コロナも少し鎮静化の兆候を見せ始め、開催ギリギリまでリアル開催のみを検討されていた学会長の鈴木教授も各学会の状況や周囲からのご意見でオンデマンド配信を取り入れたハイブリッド開催で実施されました。

 展示会場はパシフィコ横浜会議センターの311+312、313+314,315を使用して分散型の展示会開催となりました。日本緑内障学会のキャラクターである「MEGURIN」の使用許可を得て、MEGURINを用いてデザインした手指アルコール消毒スタンドは会場の数か所に設置され、学会参加者にも好評でした。学会最終日は台風の影響を受け、予定を変更して早く帰られる先生方も見られましたが、学会会期中は登録者数の大半がリアル参加者として多数来場され、緑内障学会と展示会としては過去2年を取り戻すかのような印象さえありました。

第76回日本臨床眼科学会

学会長: 東京女子医科大学 飯田 知弘 教授
会期: 10月13日~16日(展示会は15日まで)(オンデマンド配信:11月1日~30日)
学会場: 東京国際フォーラム、JPタワー ホール&カンファレンス
展示会場: 東京国際フォーラム ホールE(88社 644小間)
最終登録者数: 11,477人 (リアル延べ参加者:10,110人)

 第76回日本臨床眼科学会は久しぶりの東京国際フォーラム、JPタワー ホール&カンファレンスを学会場として開催され、展示会場も東京国際フォーラムのホールEで行われました。

 新型コロナウイルスも小康状態で、事前登録の時点で第75回の会期中登録者数を上回るという盛況ぶりでした。
展示会場にも連日多くの来場者が足を運んでくださり、各社ブースは非常に賑わっていました。展示会において新製品や話題になる優れた製品を展示することはもちろんですが、特に今回の展示会で目を引いたのは小間位置の条件があまり良くない島小間が小間を囲む周りの壁を排除し、オープンなデザインにしていたブースが多く、入りやすい環境を整えていました。その結果、医療従事者の方々が導かれるように入場されて、常時賑わっていたような印象が残りました。

 ブースの立地条件が悪いと思われる場所でもブースデザインや制作上の工夫で、立地条件の良い企業の小間以上に集客できるにという事、集客しやすい、入りやすいブースのデザインや方向性があらためて示されたような印象さえ感じることができました。
展示会場には通常の展示以外に歴史好きの飯田学会長が特別コーナー『「継承」眼科遺産』と題してWOCで展示された歴史的な日本の眼科医学書、検査機器、往診用薬瓶等を展示されました。
また、今学会から眼科「新専門医制度」が導入され、対象となる講演会を視聴できるLIVE視聴コーナーも設置し、展示会場への集客の一助となりました。

 学会抄録アプリがおもてなしのお菓子の提供時間になるとポップアップでお知らせするため、提供時間が近づくとおもてなしコーナーの周辺には待機される先生方で長蛇の列ができるほどの盛況ぶりでした。おもてなしコーナーで長蛇の列ができたのはコロナ前の学会以来で、今後の開催に福音をもたらす予感を感じさせました。

 学会の閉会式では第77回日本臨床眼科学会会長を務められる大鹿先生から「今回の臨眼で、眼科関連の学会の喪が明けた」とお話になるほど多くの先生方が大成功と思われた学会だったのではないでしょうか。

 コロナ禍以降、来場者の減少に各社苦労していましたが、この臨眼が最も展示会への来場者も多く、展示会としてもコロナ前のような活況であったと思います。

第61回日本網膜硝子体学会

学会長: 関西医科大学 髙橋 寛二 教授
会期: 12月2日~4日(オンデマンド配信:12月19日~1月15日)
学会場: 大阪国際会議場
展示会場: 大阪国際会議場 イベントホールB~D(34社 83小間)
最終登録者数: 2,137人(リアル延べ参加者:2,645人)

 第61回日本網膜硝子体学会総会は新型コロナウイルス第8波とインフルエンザ流行の兆しを見せた時期に大阪国際会議場で開催されました。展示会場は3FのイベントホールのB~Dを使用し、Aは第二会場として、Eは学術展示会場として使用され、両サイドを学会の会場として使用する恵まれたロケーションで展示会が開催できました。

 事前登録者数も1,424人と多くの方が登録をされていました。反面、展示委員会としては第125回日本眼科学会総会開催中に展示会出展企業から新型コロナウイルス陽性者が出てしまった事を繰り返さないように細心の注意を払い、出展企業の皆さまにも協力を依頼して臨みました。
日本網膜硝子体学会総会の規模では、大阪国際会議場を全館貸切ることは出来ないため、全来場者の健康状態申告書の受取、検温、手指アルコール消毒を促す対応は3Fは協会、5Fは学会がそれぞれ分担して行いました。

 展示会場の小間設置間隔、通路は広めにとり、展示会場の4隅には空間除菌器を設置し、ブースアテンドの人数制限も継続して実施しました。展示会場入口からは会場内に進みやすい様に基礎小間を前方に配置し、奥に島小間を設置。会場内を回遊しやすい様に左右に広い導線を確保し、学術展示会場との壁を排除し、どこへでも行きやすいレイアウトでした。2021年から健康状態申告書の提出枚数でリアル来場者数が計算でき、当該学会も最終のリアル来場者は3日間で2,645人と多くの医療従事者が参加され、講演の間に多数の方が展示会場に足を運んで頂けました。この数字は登録者数との比率で考えると第76回日本臨床眼科学会を上回っていますが、専門学会のプログラムの関係で展示会場に向かわれる医療関係者の機会が少ないことは否めないと思います。

 

 2023年の展示会開催、運営に向けて本年を振り返り、検討し、出展者の皆様の満足度を向上できるように委員会として努力いたします。

 今後共、皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。